地域通貨とは、特定の地域やコミュニティ内に限定して使える通貨のことをいいます。
自治体や企業、商店街などが独自に発行し、利用できる場所や期間を限定することで利用を促進し、地域内での経済を循環させる効果があります。
一方、私たちが普段手にしている「お金」は日本銀行が発行しており、「法定通貨」と呼ばれています。 国内どこでも利用でき、その価値は国によって保証されています。
法定通貨の場合、その国の保証のもと、主に「消費」と「貯蓄」の機能があります。一方で、地域通貨では「貯蓄」の機能がなく、預けて増やすなどの行為が原則できず、流通(活発に使われる)ことを期待され発行されます。
地域通貨の目的として設定されているものは、主に次の2つに分類されます。
・地域経済の活性化
・コミュニティの活性化
地域通貨は、使用できる範囲が限られていたり、有効期限を持っていたりと消費の仕方が限定されています。こうして消費欲が刺激され、消費が促進されたことによる効果は地域内に留まるため、自立した地域経済の活性化につながります。
また、例えばボランティア活動のように、地域通貨で「お礼」をする仕組みを作ることができれば、コミュニケーションの多様化や相互補助の仕組みの推進にも有効です。このように地域内の関わりが増えることでコミュニティの活性化にもつなげることができます。
地域通貨を成功させるには、発行する際に、「誰を利用対象にするのか(ターゲット)」「流通させることでその地域・コミュニティ内にどんな効果をもたらしたいか(目的)」を明確化する必要があります。
例えば、「旅行客の誘致を促して地域の観光業を活性化させたい」のであれば、海外や遠方からの旅行客が利用しやすい仕組みを考えることが必要です。旅行客の利用が多い駅や施設で購入・利用できる導線づくりのためには、交通機関や土産物店など、多種多様な加盟店の協力を得る必要があります。
また、「地域内での利用循環を促すことで、地域内のお店を元気にしたい」場合には、何度も使ってもらえる手軽さや工夫、地域内での浸透力が大切になるでしょう。
例えば、定期的なクーポン発行による利用促進、利用ポイントに応じてもらえるオリジナルグッズや特別特典の付与といったように、形骸化せず「忘れさせない」仕組みや、オリジナリティによる「特別感」によって、その地域内での浸透力を高める工夫が必要になります。
このように、あらかじめターゲットと目的を明確化して、ターゲットにとって利用しやすく、魅力的な地域通貨を設計していくことが成功のポイントです。
地域通貨は、利用されて初めてその価値が顕在化するものであり、少なくとも運用コストに見合うほどの流通量と効果を維持する必要があります。
デジタル地域通貨は、手段を選ぶことで、従来の地域通貨に比べて発行・運用コストを抑えられ、集計や管理の手間も大幅に削減できる可能性があります。
例えば、開発不要のSaaS型(※)の地域通貨であれば、利用するための環境構築が不要なため導入費用も格段に抑えることができます。成功の重要なパートナーである加盟店への負担も、大きな初期投資を必要とせず、最小限にすることが可能です。
こうした地域通貨の導入にあたっては、誰でも使いやすい仕組みであることが大切です。特に、デジタル地域通貨の場合には、高齢者でも抵抗なく利用できるよう、シンプルな仕組みづくりとサポート体制の構築が必要です。
また、地域通貨の利用方法を記載したポスターの提示や、SNSのハッシュタグを活用したPR活動やユーザー間コミュニケーションの促進など、地域通貨の認知度を上げる施策も大切です。
(※)SaaS型... Software as a Serviceの略で、ソフトウェアをパッケージにして売るのではなく、インターネットを経由したサービスとして提供する販売形態のこと
いくら認知度をあげ、興味を持ってもらったとしても、利用者にとって使いたい時、使いたい場所で利用できなければ利用機会を損失してしまいます。
加盟店を増やすだけでなく、例えば宿泊施設や市内タクシー、公共料金の支払いにも利用できるようにするなど、ターゲットが求める利用方法の検討や、利用することで得られるサービスによって付加価値をつけるなどの工夫が必要です。
紙からデジタルになったことで地域通貨がより導入しやすくなったこと、またその成功のポイントについてご紹介してきました。このパートでは、弊社ポケットチェンジが提供するオリジナル電子マネープラットフォームサービス「pokepay(ポケペイ)」を活用したデジタル地域通貨の成功事例を、その具体的な成功要因と共にご紹介します。
竈コインは、宮城県塩竈市の飲食店やお土産物屋でのみ利用できる地域通貨です。JR東日本がベンチャー企業を支援する事業の一つとして、1年間の実験期間を設けて実施されました。
pokepayには、日本円だけでなく外国貨幣にも対応した専用チャージ機のオプションサービスがあり、発行主様管理のもとご利用いただくことができます。本事業では、同端末を仙台駅・本塩竈駅・仙台空港などに設置しました。
同端末に現金を投入し専用アプリにチャージすることで、塩竈市内の加盟店約30箇所で使用でき、観光業の収益拡大につながりました。
会員向けに「お知らせ通知」を使った最新情報や、クーポン券を配信することで来訪後の繋がりを維持し、再来訪の機会づくりに役立てることができました。
加盟店からの決済手数料を地元地域の観光に再投資することで、地元に貢献・還元する循環モデルを構築しました。決済データを取得することで、さらなる観光業の活性化を目指す施策も立てやすくなりました。
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同地域は、利用者・加盟店のスタッフともに高齢者が多く、デジタル地域通貨の浸透に不安な声が上がっていました。しかし、pokepayのシンプルな利用方法により、普段キャッシュレス決済に馴染みの少ないご高齢の方でも無理なく利用することができました。
加盟店の従業員向けに説明会を開き、積極的に「あさごpay」を使ってもらうよう協力を仰ぎました。自分でも使えたという成功体験を従業員に持ってもらうことで、お客様に自信を持ってご案内いただけるようになり、認知度の向上と利用者の増加につながりました。
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地域通貨は次の3つを押さえることが成功のカギと言えます。
①ターゲットと目的の明確化
②運用コストに見合った設計と分かりやすい仕組みづくり、認知度の向上
③ターゲットが求める利用機会、利用場所の設定とサービスによる付加価値
お伝えしてきたとおり、地域通貨はこれまで多くの地域や自治体で発行され、そのほとんどが廃止に追い込まれる結果となっていました。
しかしながら、スマートフォンの普及とキャッシュレス決済の広がりから、デジタル地域通貨という形で再注目され、導入する地域が増えてきています。
デジタル地域通貨は、地域の経済活性化だけでなく、コミュニケーションの活性化や、データ活用による新たな施策の構築など、地域全体の活性化につながる可能性を持っています。
弊社サービスpokepayは、SaaS/プラットフォーム型サービスのため、初期開発費用は無料で簡単に地域通貨を発行することが可能です。
運用コストも抑えながら、スピーディーに導入を実現できるため、短期間のイベント通貨や、期間限定の実証実験でのご利用にも適しています。
「こういう使い方はできるのか?」など、使い方や導入についてのご質問は下記からお気軽にお問い合わせください。